滑り抵抗係数(CSR:Coefficient of Slip Resistance)の基礎知識
滑り抵抗係数(CSR:Coefficient of Slip Resistance)とは
バリアフリー新法(正式名称「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」)に基づくバリアフリー設計のガイドライン「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」の改訂に伴い、床の滑りに関する明確な数値基準が示されることとなりました。
「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」の中では、床の滑りの評価指標として、「床の滑りの指標として、JIS A 1454(高分子系張り床材の試験方法)に定める床材の滑り性試験によって測定させる滑り抵抗係数(CSR)を用いる。」と記載があります。
CSR:Coefficient of Slip Resistance
これまで床の滑りに関する数値・基準には様々な学説があり、統一した規格が存在しない状態でした。そのため、発注者、設計者、管理者、工事業者、材料メーカー共に、何をもとに床の安全性を確保すべきか不明瞭でした。しかし、平成24年8月、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」の改訂により、床の滑りの評価基準として、「滑り抵抗係数(CSR:Coefficient of Slip Resistanc)」が採用になりました。人の歩行する床面では、滑り性試験で測る「CSR:Coefficient of Slip Resistanc」を参考に管理していくことが大切です。
「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準|国土交通省」
国土交通省のHP内には、「主な改訂内容としては、これまで記載されていなかった床の滑りに係る評価指標及び評価方法等について記述を充実したほか、」との記載があります。
以下「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」抜粋
4.10 床の滑り
床の材料及び仕上げは床の使用環境を考慮した上で、高齢者、障害者等が安全かつ円滑に利用できるものとする。
床の種類 | 単位空間等 | 推奨値(案) |
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履物を履いて動作する床、路面 | 敷地内の通路、建築物の出入口、屋内の通路、階段の踏面・踊場、便所・洗面所の床 | C.S.R=0.4以上 |
傾斜路(傾斜角:θ) | C.S.R-sinθ=0.4以上 | |
客室の床 | C.S.R=0.3以上 |
床の種類 | 単位空間等 | 推奨値(案) |
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素足で動作し大量の水屋石鹸水などがかかる床 | 浴室(大浴場)、プールサイド・シャワー室・更衣室の床 | C.S.R・B=0.7以上 |
客室の浴室・シャワー室の床 | C.S.R・B=0.6以上 |
※素足の滑りを示す「CSR・B値」は「JIS A 1509」に記載のある規格です。「CSR・B値」の測定に関しては、一般社団法人床の滑り測定協会で所持する携帯型滑り試験機「ONO・PPSM」では、正確な数値を測定することが出来ないため、履物着用の場合の滑りのみの受付としております。
突然滑り抵抗が変化すると滑ったりつまずいたりする危険が大きいため、同一の床において、滑り抵抗に大きな差がある材料の複合使用は避けることが望ましい。 |